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ガラス転移のダイナミクス |
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ガラス転移は動的転移であると考えられています。しかし、その起源は解明されていません。我々も準弾性中性子散乱や動的光散乱を用いて、広い時間スケールでガラス転移のダイナミクスを調べています。
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◆ボソンピークと速い過程
meV領域の低エネルギーの励起と速い過程の出現
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2-3meVに低温で見られるボソンピークの強度はボーズ因子により、スケールできます。しかし、ガラス転移温度より50K低い温度から、ガラス転移の前駆現象と考えられる速い過程が出現します。
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J. Chem. Phys., 95, 5332 (1991)
J. Chem. Phys., 98, 8262(1993)
J. Chem. Phys., 104, 3841-3850 (1996)
J. Chem. Phys., 108, 6492-6497 (1998)
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ポリブタジエンの動的散乱則S(Q,w)の温度依存性。
赤い破線はボーズ因子から予想される強度。
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◆ガラス転移近傍におけるE-過程の出現
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速い過程に少し遅れてサブナノ秒領域に高分子特有のE-過程を初めて発見した。これは、高分子鎖のコンフォメーション変化の素過程と考えられる。以下に予想される素過程を示す。
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単一ボンド回転
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カウンター回転
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Macromolecules, 24, 1826 (1991)
Macromolecules, 32, 1672 (1999)
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ポリブタジエンのサブナノ秒領域
(数十μeV)における S(Q,w)
の温度依存性
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◆α 緩和(セグメント運動)
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ガラス転移を直接に司っているのはα-過程と呼ばれる緩和過程です。光子相関法(動的光散乱)でポリ(p-メチルトルエン)シロキサンのα-過程を観察した。伸張指数関数でフィットでき、広い緩和時間の分布からその不均一性が明らかになった。
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動的光散乱により測定されたポリ(p-メチルトルエン)シロキサンのα-過程による密度相関関数
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◆熱中性子スピンエコーを用いたガラス転移近傍の局所運動
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世界で唯一の熱中性子スピンエコー分光器
TASSE in Tokai
ポリブタジエンの中間散乱関数
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構造因子S(Q)と減衰速度ΓのQ依存性。Q=1.5A-1でde Gennes ナローイングが観測されたが、Q=2.9A-1では単調増加した。世界で初めての測定。
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J. Phys. Soc. Japan, 74, 3236 (2005)
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ゲルのダイナミクスー静的ゆらぎと動的揺らぎー
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高分子ゲルの外界刺激への応答などを理解するためにはダイナミクスを明らかにしなければならない。中性子スピンエコー法はナノスケールのダイナミクスを直接プローブできる数少ない手法の一つであり、ここでは3種類のポリビニルアルコールゲル、すなわち(1)DMSO/水混合溶媒中のPVAゲル
、(2)ホウ砂水溶液中のPVAゲル
、(3)グルタールアルデヒドによる化学架橋PVAゲルのダイナミクスを調べ、それぞれのゲルの相違を明らかにしました。
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中性子スピンエコーによる測定 |
小角散乱では
分離できない
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●非減衰成分
(静的なゆらぎ)
●減衰成分
(動的なゆらぎ)
を
分離できる
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◆それぞれの架橋点と中性子スピンエコーデータ |
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J. Neutron Res., 10, 149 (2002)
Phys. Rev. E71, 011801 (2005)
Physica B, in press (2006)
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高分子ミセルのダイナミクス
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表面グラフト高分子鎖を良溶媒中に浸すと溶媒浸透圧と分子鎖のエントロピーの兼ね合いにより呼吸モードが起こることがde
Gennesにより理論的に予想されていた。これを中性子スピンエコー法により実証した。
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高分子ミセルの呼吸運動
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ポリスチレン/ポリイソプレンジブロック共重合体の
高分子ミセルの中性子スピンエコーデータと理論曲線
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J. Phys. Chem. Solids, 60, 1367-1369 (1999)
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ポリスチレン/ポリブタジエンジブロック共重合体の
高分子ミセルでは呼吸モードが消える。
第2ビリアル係数の問題.
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J. Chem. Phys., 122, 144905 (2005) |
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高分子電解質水溶液のダイナミクス |
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長距離力である静電相互作用がその溶液構造を支配する高分子電解質溶液のダイナミクスは静電相互作用の影響を受け、S(Q)のピーク位置でいわゆるde
Gennes narrowing を起こす。しかし、詳細に見ると内部自由度によるmobility
も重要な役割をしている。
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Q-dependence of Dapp & S(Q)
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Macromolecules, 22, 1356 (1989)
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